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Tenor Banjo(テナーバンジョー)
David Boyle Tenor Banjo  
David Boyle Tenor Banjo アイルランド西部の海沿いにDoolinという小さい村があります。音楽で有名な小さな村なのですが、ここを拠点に活動するKevin Griffinというバンジョー奏者が弾いていたのがヘッドに「DB」というロゴの入ったDavid Boyle氏のバンジョーでした。トーンリングはオリジナルのレイズドヘッド(アーチトップ)スタイルで、金属パーツはゴールド。開発にあたってGerry O’Connor氏やKiaran Hanrahan氏など名うてのバンジョー奏者がアドバイスしたということでも分かるように、重厚かつパンチの効いた音は他のアイリッシュの楽器とのアンサンブルでも負けません。アイルランドには、もう一人Tom Cussen氏というバンジョー製作者がいて人気を二分しています。Gerry氏は彼のWebで「It's a great strong robust instrument(=力強くたくましい楽器)」とこの楽器を評しています。まさにアイリッシュのためのバンジョーと言えます。
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Clifford Essex Paragon Tenor Banjo  
Clifford Essex Paragon Tenor Banjo Clifford Essexは1950年代まで存在した英国のバンジョーメーカーで、Paragon(模範、手本、かがみ)という名が冠せられたこのモデルはClifford Essexのトップラインに位置づけられるモデルでした。Gerry O’ConnorをはじめJohn Carty、Barney McKennaなど多くのプレイヤーに絶賛される、アイルランドのバンジョープレーヤー垂涎の楽器といえるでしょう。装飾は派手過ぎず、シンプル過ぎず。むしろこのバンジョーの本領は、文字ではなかなか説明しづらいのですが、見えない部分に施された丁寧で精緻な作りにあると言えるでしょう。このParagonで特徴的なのはリゾネーターで、中心部がへこんだ逆アーチになっていること。野太いサウンドが特徴のEpiphone Recording Banjoがアイリッシュテナー界の「ガルネリデルジェス」だとしたら、均整の取れたこのClifford Essexは間違いなく「ストラディバリウス」ではないでしょうか。
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Epiphone Recording A (Artist) Tenor Banjo(初期型)  
Epiphone Recording A (Artist) Tenor Banjo(初期型) エレキギターのブランドとして有名なEpiphoneですが、1920年代にバンジョーメーカーとして成功し、その礎を築いたことは、あまり知られていないのではないでしょうか。1924 年に、そのEpiphoneからトップラインのバンジョーとして販売されたのがRecordingシリーズです。Recording シリーズにはArtist(A)、Bandmaster(B)、Concert(C) 、Deluxe(D)、Emperor(E)の5つのグレードがあり、その最も廉価版がこのArtist(A)です。グレードによる違いは装飾や材質で、Recording Aのネック、リゾネーターにはウォールナットが使われています。アイリッシュ・バンジョーの世界では、Clifford Essexと人気を二分すると言ってよいでしょう。Recordingシリーズは数度の改良が行われており、この初期型はテンションフープやトーンリング、フランジの形状が後期型とは大きく異なっています。
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Epiphone Recording A (Artist) Tenor Banjo(後期型)  
Epiphone Recording A (Artist) Tenor Banjo(後期型) 今日Recordingシリーズの名声を高めているのはこの後期型です。アメリカの有名なバンジョーバイヤーのJohn Bernunzio氏によれば、Recordingシリーズの後期型とその他の時期のモデルは全く別のバンジョーと考えた方がよいとのこと。初期型もパワーがありメリハリのある音色なのですが、後期型はこれに音の深みが加わり、リゾネーターを通じて、体に刺さるような勢いで音が出ている感じです。均整の取れたClifford Essexとは対照的に、力強さが際立つバンジョーです。初期型同様、レイズドヘッドのトーンリングを採用していますが、一見しただけで違いが分かるほど形状が異なっています。完成度の違いは明白です。またEpiphoneは重たいバンジョーと言われていますが初期型よりもさらに重たくなっています。Gerry O’Connor氏が愛用しているということで、ますます人気が高まる一方、市場ではなかなかお目にかかれないバンジョーの一つです。
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Epiphone Recording B (Bandmaster) Tenor Banjo(後期型)  
Epiphone Recording B (Bandmaster)  Tenor Banjo(後期型) Recordingシリーズでは下から2番目のグレードで、Artistとの違いは、ネック、リム、リゾネーター[画像]がローズウッドである点と、ネックの根元部分に彫刻[画像]が施されるなど装飾が幾分豪華な点です。このBandmasterには、一つ上のグレードのConcertのリゾネーターが取り付けられています。1920年代当時、新しい素材だったセルロイドで装飾するのが流行ったようで、「C」、「D」、「E」はいずれも指板、ヘッド、リゾネーターにふんだんにセルロイド装飾が施され、これが今日プレイヤーには逆に敬遠される要素になっているようです。John Bernunzio氏は、「プレイヤーにとって真に価値があるのは『A』か『B』」と断言していますし、Tom Cussen氏も『B』を最強のテナーバンジョーと評しています。『A』に比べ材質の違いに起因するのか、よりきらびやかな音のするバンジョーです。
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Gibson TB-1 Trap Door Tenor Banjo  
Gibson TB-1 Trap Door Tenor Banjo バンジョー後発メーカーだったギブソン社が、マンドリン奏者のセカンド楽器としても使ってもらおうと1920年代初頭に投入したモデルです。弦長は49cmと、通常の19フレットテナーの58cmにくらべかなり短くなっています。このモデルはリムに埋め込まれたパチンコ玉ほどのベアリングの上に真鍮製のチューブを載せたボールベアリング式と呼ばれるトーンリングを採用しています。もう一つの特徴はトーンプロジェクターと名づけられた背面に取り付けられた板[画像]です。一般にはTrap Doorと呼ばれていますが、この板はヒンジによって一部分が開閉可能で、1台でオープンバックにも、リゾネーターバンジョーにもなるというアイデアでした。確かに開け閉めによって若干の音の違いが楽しめます。市場での評判はいま一つだったようで、短命に終わったそうです。弦長が短い分が、音量、余韻とも控えめですが、愛嬌のある外見は魅力たっぷりです。
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Weymann Orchestra Tenor Banjo Style No.4  
Weymann Orchestra Tenor Banjo Style No.4 Weymannはバンジョーのゴールデンエイジと呼ばれた1920年代を彩ったバンジョーメーカーの一つです。中でもこのOrchestraシリーズは同社のトップラインのバンジョーで、当時のバンジョーの中で最もデザインが洗練されているとの評価だったようです。またOrchestraシリーズデザインのみならず革新的なアイデアをふんだんに盛り込んだバンジョーでもありました。リゾネーター[画像]は、簡単に脱着ができ、オープンバックバンジョー[画像]としても使えるという点や、胴体に渡されたneck brace/action adjuster[画像]とよばれる金属製のバーのネジを調整するだけでネックの角度、弦高の調整ができるなどすぐれた機能・アイデアを満載しています。また標準のスケールより1フレット分短くし、プレイアビリティを高めるなどの工夫もされています。Style4はその贅をつくした装飾[画像]が特徴で、フレットに施された木の葉のインレイ[画像]は「Tree of Life」と呼ばれています。
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S.S.Stewart Tenor banjo  
S.S.Stewart Tenor banjo S.S.Stewartもゴールデンエイジを支えたバンジョーメーカーのひとつ。創業者のサミュエル・スウェイン(SS)・スチュワートは、それまで黒人の民族楽器だったバンジョーを一般に広めようと、楽器販売に当たって当時のbanjeauのスペルを分かりやすいようにbanjoに変えるなど工夫をしたようです。このモデルの由来は不明ですが、シンプルな装飾などスチューデント・モデルだったのではないかと推測されます。バンジョーの音の善し悪しは偏にトーンリングにかかっていて、当時各社はトーンリング開発にしのぎを削っていました。このバンジョーは他のバンジョーに比べると拍子抜けするくらいシンプルで軽いレイズドヘッドタイプのトーンリングを採用していますが、音はなかなかのもので、入門機種とは思えないほどです。ちょっと弾くには実に肩のこらないバンジョーです。
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Bacon & Day Silver Bell No.1 Tenor Banjo  
Bacon & Day Silver Bell No.1 Tenor Banjo Bacon & Dayもゴールデンエイジを支えた主力メーカーです。ブルーグラスで使われる5弦バンジョーはほとんど生産せず、大半が4弦のテナーかプレクトラムバンジョーというのもこのメーカーの特徴です。1920年代当時のテナー&プレクトラムバンジョーの大半は、Bacon & Dayと言われるほど人気があったようで、そのおかげで今日、状態のよい楽器をリーズナブルな価格で手に入れることが可能です。Silver Bellはこのメーカーの名前を不動のものにした傑作で、Knee Muteと呼ばれるミュート装置や各弦独立でテンション調整が可能なテイルピースなど、当時としては画期的な機能が施されています。トーンリングはフラットトップタイプで、深い余韻とリバーブの効いたサウンドが持ち味です。アイリッシュで使うには音色、音のパンチ等少々物足りない印象で、どちらかというとデキシーランドジャズ向きのバンジョーという感じです。

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